「人と自然と響きあう」 社会、自然との共生を実現し、
真に価値ある企業へ
サントリーホールディングス様
2022.08.01

サントリーの環境活動は日本の高度経済成長真っ只中の1973年に愛鳥活動としてスタートしました。サントリーの製品は豊かな自然がなければ、ビールも、清涼飲料も、ウイスキーも何もつくる事ができません。経済成長と引き換えに多くの自然が失われつつある現状に、自然に生かされている企業として強い危機感を持ち、その思いを形にしたのが愛鳥活動でした。

第1回新聞広告 1973年5月掲載
鳥は羽があるので環境が悪くなれば飛び去り、良くなれば戻ってくる“環境のバロメーター”と言われています。野鳥をシンボルにして、自然環境を知り、自然を守る活動がはじまりました。その活動は現在、全国で展開する工場の水源エリアで展開している1万2千ヘクタールの「天然水の森」の活動とも結びついています。サントリーは「人と自然と響きあう」を使命に掲げ、人々の生活を潤い豊かにすることと自然環境を守り育むことが共存し、人と自然が互いによい影響を与えあって永く持続していく社会をめざしています。環境活動の原点ともいえる “愛鳥活動”について、サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部 髙井様にお話を伺いました。
サントリー天然水の森
【愛鳥活動その1. 公益信託サントリー世界愛鳥基金】

「Today Birds, Tomorrow Humans」~今日、鳥たちに起こる不幸は、明日、人間の身に降りかかるかもしれない。そして今日、鳥たちに起こる幸福は、明日の人間を幸せにするかもしれない~。このスローガンのもと1973年より新聞に環境意見広告を10年以上掲載するなどの啓発活動を行ってきました。そうした活動の中で多くの素晴らしい鳥類保護団体との出会があり、助成金という形で応援を開始したのが、1989年に創設した「サントリー世界愛鳥基金」です。基金は3つの助成部門①水辺の大型鳥類保護(水辺の生態系ピラミッドの頂点に位置するコウノトリ・トキ・ツルなどを保護する為に水辺環境の整備・再生活動を行う)②鳥類保護団体(海外の保護活動団体を含む地球環境保全活動)③地域愛鳥活動(地域に根ざした学校のクラブ・自治会などの身近な鳥類保護・観察活動)で支援を行い、域内保全(本来の生息域での保護活動)だけでなく、域外保全(動物園や水族館)にもその枠を広げ、2022年までに延べ472件、6億2250万円超の助成を行っています。
サントリー世界愛鳥基金
【愛鳥活動その2. 啓発活動】

専門家だけでなく、一般の方が身近に野鳥に接し、その鳥の名前や特徴、生態を知り興味をもってもらう事で愛鳥活動がより推進される、との思いで「日本の鳥百科」というサイトを作っています。フリーワード検索はもちろん、その特徴や鳴き声からも検索をすることができ、掲載する鳥は今や200種類を超えています。精緻なイラスト、解説、鳴き声、写真をとおして「今この目の前で鳴いている鳥はなんだろう?」を誰にでもわかりやすく教えてくれます。楽しみながらその野鳥がいる自然に思いをはせて、環境を考えるきっかけのお手伝いになればと考えています。
また、アメリカのコーネル大学鳥類学研究室が運営する世界最大の市民参加型野鳥観察記録データベース“eBird”の日本語版“eBird Japan”に、メインスポンサーとして参画。海外でも利用が出来、自分のバードウォッチングの記録が作れるだけでなく、一人一人のデータが世界のデータベースに蓄積され、愛鳥活動の重要なテーマである野鳥の調査と保護へと繋がっていきます。
日本の鳥百科
eBird Japan
【愛鳥活動その3. ワシ・タカ子育て支援プロジェクト・フクロウ巣箱プロジェクト】

上 巣箱で育ったフクロウのヒナたち / 下 「天然水の森」でのクマタカ子育て
ワシ・タカが安心して営巣し、子育てできる森とは、彼らのエサとなる小動物や、それらが食べる植物等が多様に存在する、豊かな森であるということ。日本の森の生態系ピラミッドの頂点に位置する猛禽類(ワシ・タカ)が子育て可能な、より大きなピラミッドを形成する森林環境を目指し、全国の「天然水の森」で専門家による野鳥調査を毎年継続実施しています。その野鳥データーは豊かな「天然水の森」づくりの1つの指針として森林整備に活かされています。また猛禽類であるフクロウは自然界で営巣できる大きな樹洞が減少しており、営巣が難しくなっている森では緊急避難的に巣箱をつけて“住宅難”を解消しています。
ワシ・タカ子育て支援プロジェクトをスタートして以来、「天然水の森」では絶滅危惧種も含め延べ103回の猛禽類の営巣を確認しており、その成果は着実に数字にも表れています。これからもサントリーは野鳥をシンボルとした愛鳥活動を継続し、鳥だけでなく生物多様性に富んだ豊かな自然環境を取り戻すお手伝いを推進していきます。
ワシタカ子育て支援プロジェクト

サントリーホールディングス株式会社
サステナビリティ経営推進本部
髙井 奈緒美様
入社後経理部門や営業内務を経て、2009年より愛鳥活動を担当。
現在天然水の森グループで愛鳥活動を通して、サントリーの企業理念である“人と自然と響き合う”を推進中。
サントリーホールディングス株式会社